とちぎ福祉サービス第三者評価推進機構

ホーム > 事業所を探す > 検索結果 > 評価結果

福祉サービス第三者評価結果


■第三者評価機関名
特定非営利活動法人ニッポン・アクティブライフ・クラブ
■施設・事業所情報
名称 薬師寺保育園 種別 保育所
代表者氏名 古賀 洋子 定員(利用人数) 50人(41)
所在地 〒329-0431
栃木県下野市薬師寺2362-5
TEL 0285-48-0063
■第三者評価の受審状況
評価実施期間 令和3年5月28日(契約日)~ 令和3年11月29日(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1回 (今回が初回)
■総評
◇特に評価の高い点
◇特に評価の高い点
1. 働きやすい職場と職員のチームワークによる保育の質の向上
比較的小規模の保育園であるが、保育士の他に看護師、管理栄養士、事務職員が配置され、看護・介護休暇等があり、結婚後・子育て中でも働ける職場を目指していて、働きやすい職場づくりに取組んでいる。園長と主任が一体となって活動し、職員のチームワークがとれていて、保育の質の向上に向けた体制も確立されている。そのため、保育士が穏やかで優しく子どもたちに接していて子どもたちが保育園で毎日楽しく過ごしており、保護者からも信頼され、親身になって相談に乗ってくれると感謝されている。

2.経営環境の変化等への適切な対応
保育園等を経営している法人((福)内木会および(学)内木学園)は人口動態と年少人口の減少状況等の経営環境を適切に分析しており、両法人共通の『発展計画書』の中で「保護者に選ばれる園にならなければ生き残っていくことはできない」と経営課題を明確にしている。薬師寺保育園が令和元年に市立保育園から(福)内木会に移管した後、上記の経営状況と経営課題を踏まえ、保育園を移転・新築することとし、下野市子ども・子育て支援事業計画を踏まえて需要の多い認定こども園として令和4年度4月から再出発することが内定している。このように法人として経営環境の変化等へ適切な対応を行っている。

3. 情報通信技術の推進による保育の質の向上
法人として事務効率の向上に努めており、情報通信技術(ICT)を推進している。法人の共有ファイルサーバーを利用して各園を仮想ネットワーク(VPN)で接続し、パソコンは全正規保育士に、またクラス毎にスマートフォンを配布している(両者とも園内使用に限定)。職員の情報共有は「チャットワーク」で行い、保護者との連絡は通信システム「えんとつ」(「えんとつながる」)に集約し、保育料や登降園連絡も「えんとつ」を通じて行い、園だよりも「えんとつ」で配信する、ホームページに掲載する園の活動状況の報告にもICTを活用する、などの取り組みを行っている。このようなICT化によってペーパーレス化し、職員の仕事の効率化を図り、園児と関わる時間が増えるなど保育の質の向上につながっている。

4. 園だよりを通じた利用者満足への取り組み
保護者に、保育内容と子どもの様子を多くの写真やイラスト入りでわかりやすく伝えるため、職員がそれぞれの分野で役割を分担して園だより「てんとうむしつうしん」を毎月冊子にまとめ発行し、さらにICTを活用した「えんとつ」でも配信している。掲載している内容は、お知らせを初め、月の保育目標、行事予定(3ヵ月分)、クラス毎の子どもの様子、保健だより、食育だより、献立表など、知りたい情報満載である。加えて、保護者からの声としての「親心メッセージカード」が寄せられた時には園長がコメントを入れて掲載し、園との双方向通信ともなっている。卒園時などに積み重なった園だよりを紐解けば、我が子の立派な成長記録として残すことが可能となっており、利用者の満足につながっている。

5.運動会・発表会は普段の保育の発表の場
年間行事の中でも特に大きな活動である運動会・発表会についての取り組み方・考え方を年間の活動計画「計画スケジュール」として作成している。「計画スケジュール」に沿って、運動会は、毎日の体操やかけっこ、体育遊びなどを活動成果の発表の場として構成し、発表会も「歌、鍵盤ハーモニカ演奏、音劇(セリフ劇)」などを普段の保育に取り込み、特別に練習することなく、普段の保育の延長として、子どもたちが楽しんで意欲的に発表・活動できるよう行っている。また、運動会・発表会の終了後に「計画スケジュール」を振り返り、反省を記録として残し、資料として次年度に生かす取り組みを行っている。
◇改善を求められる点
◇改善を求められる点
1. 保育園としての事業計画と予算の策定
中・長期的なビジョンと計画は法人として策定しており、単年度の事業計画や予算も法人で立てられ、薬師寺保育園側は作成に関与していない。法人の『発展計画書』に「園の最高決定者は理事長・園長である」と記しているが、園長の役割や権限の記載はない。保育園の移転・新築に伴う移転計画については、職員の意見・要望や保護者からの提案等も取り入れた計画の作成に期待する。

2. 保育の質の向上に向け、PDCAを活用した取り組み
法人としては『発展計画書』を作成して保育の質の向上に向けた取り組みを組織的に行っているが、薬師寺保育園としての自己評価は行っていない。保育の質の向上に向けた取り組みを組織的に行うためにPDCAを活用した取り組みを望む。職員アンケートからも職員からのフィードバックや職員参加が不十分であることが窺われる。職員参加のもとで保育の質の向上に向けた更なる取り組みを期待する。

3. 安全・安心なリスクマネジメント体制の改善
ヒヤリ・ハットや事故発生の都度、事実関係を確認し園内チャットワークで共有し、それらをまとめた事故集計表とヒヤリ・ハット集計表には状況や処置が記入されているが、防止策や改善策を記載する欄がないためこれらは必ずしも記載されていない。職員間で要因や対策を十分に話し合い検討するためにはチャットワークで共有する際に報告者が防止策や改善策を提案するプロセスは重要である。保育の質の向上の観点から、職員の危険への気づき・考え方、取り組み方法を含め、園としての安全対策・事故防止のためのリスクマネジメント体制の改善に期待する。

4. 支援の必要な子ども一人ひとりの個別指導計画の作成
支援を必要とする子に毎日直接かかわる保育園として、集団の中で安心して楽しく生活し、一人ひとりの特性に配慮した保育を行い、保護者・職員の共通理解を深めるためにも支援を必要とする子どもの「個別指導計画」の作成に期待する。


(付記)訪問調査日は政府の栃木県への緊急事態宣言発出の中であり、保育室への出入りや食事を園児と一緒に摂ることなどを控えたが、聞き取り調査は事務所などで通常通り行われた。
■第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
薬師寺保育園の民営化後はじめての第三者評価となりました。本来であれば、保育の様子をじっくりと見て頂きたいところではありましたが、コロナ禍ということで、少ない時間の中で2日間に分けて丁寧な聞き取り調査を行っていただきました。臨機応変な対応をいただき、ありがとうございました。

私たちはこの3年間、市営保育園の保育・行事にいかに内木会らしい良さを加えられるか試行錯誤し、保護者の皆様に満足していただけるよう、体操教室・音楽教室・英語教室などの新しい保育や給食の在り方、行事の充実に努めてまいりました。また、「人材こそ財産」と考え、全職員が働きやすい職場・長く勤められる職場を目指してまいりました。
今回の第三者評価では、特に評価の高い点として、「歌、鍵盤ハーモニカ演奏、音劇(セリフ劇)などを普段の保育に取り込み、(中略)、子どもたちが楽しんで意欲的に発表・活動できるよう行っている。」、「結婚後・子育て中でも働ける職場を目指していて、働きやすい職場づくりに取組んでいる。(中略)職員のチームワークがとれていて、(中略)、保護者からも信頼され、親身になって相談に乗ってくれると感謝されている。」などと日頃の頑張りを高く評価していただきました。普段の業務ではなかなか実感できていなかった点を第三者評価として改めて評価していただいたことで、保育士全体の士気を高めることにも繋がりました。

一方で、具体的な改善点も見つけることができました。これまで法人((福)内木会・(学)内木学園)の掲げる方針や事業計画に則り、系列園が足並みをそろえて質の高い保育を目指してまいりましたが、薬師寺保育園らしい独自性を高めていくことも重要であることを学びました。また、個別指導計画や園独自の自己評価など、ご指摘いただいた課題の重要性も理解し、すでに取り掛かり始めております。

薬師寺保育園は、公立園時代の保育のよさと、内木会の保育のよさ、両方をもつ保育園です。今後は更に、保育園から変更・開設される認定こども園としての課題や魅力も出てくると思います。今回の第三者評価という貴重な結果を受けまして、少しずつではありますが、全職員で協力し、課題がクリアできるよう取り組むとともに、地域のお子様・保護者様のために、気を引き締めて日々の保育に臨んでまいりたいと思います。
この度の第三者評価にご協力・ご尽力いただいたすべての方々に感謝の意を表します。誠にありがとうございました。
■第三者評価結果
 
  別紙の「第三者評価結果」に記載している事項について公表する。